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イントロダクション
決定論的に駆動する古典計算機が執り行うゲームは、しかしその設計の中にしばしば乱数生成を組み込まれている。ともすれば容易に最適戦略を確定できる完全情報ゲームになりかねないコンピュータゲームにおいて、ランダム性が果たす効果は絶大なものだ。例えば賭けの要素を持ち込むことで、完全に避けることはできない、しかし不可避だと甘受することもできない不確定のリスクを作り出してドキドキ・ハラハラを演出する。あるいは今後の展開を乱数に左右させることで将来を不透明なものにし、プレイヤーに、多くの可能性を視野に入れた複雑な最適化計算を強制する。極めて高いランダム性とリプレイ性を特徴とするローグライク*2のゲームをプレイしたことがあるなら、ランダム性が、新鮮で心躍る動的なゲーム体験の提供にどれだけ大きな役割を果たしうるか容易に理解できるだろう。
*1:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dice_%28504524747%29.jpgより、CC-BY-SA-2.0に基づく
*2:セーブはできずに死んだら最初からやり直し、しかしマップやアイテムが毎回ランダムに自動生成されるのでプレイ体験は新鮮、1プレイのスパンも短いのでどんどん未知に突っ込める、などといった当時としてはかなり革新的な特徴を持つ1980年のRPG『Rogue』に似ているゲームがローグライク(Roguelike)。最近の有名どころで言うと『Noita』、『Darkest Dungeon』など。『トルネコの大冒険』『風来のシレン』『ポケモン不思議のダンジョン』のようなゲーム、と言った方がピンと来る人もいるかもしれない。
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